友人に誘われてAve Mujicaのライブに行ってきた

...ようこそ。Ave Mujicaの世界へ

友人に誘われてAve Mujicaのライブに行ってきた

先日、友人から誘いを受け、Ave Mujicaのライブへ足を運ぶことになりました。バンドリ系のライブは過去に何度か経験がありますが、最近はライブに行く回数そのものを減らしていたため、ずいぶんと久しぶりの感覚でした。

会場は、LaLa arena TOKYO-BAYです。開場が16:30からだったので、それまでの時間を使い秋葉原に立ち寄りました。目的は、自作PCのパーツ相場を確認し、ショップ店員にアドバイスをもらうことです。PCの新規購入も頭をよぎりましたが、結局は使える部品を流用しつつ、中身の性能を引き上げる方向で落ち着きそうです。

対応してくれたショップの店員は思いのほか丁寧で、こちらの漠然とした要望にもかかわらず、的確な提案をしてくれました。見積もりもほぼ予算通りで、OSを加えて少し足が出る程度です。9月に夏休みを取得する予定なので、そのタイミングで組みたいところですが、世間一般のサマーセールとは時期がずれます。セールに固執するつもりはないものの、9月は新製品の発表などでパーツが品薄になる可能性も否めません。やはり8月中には決着をつけておくべきだと考えています。

店を出て駅へ向かう途中、アイマス20周年の大きな広告が目に留まり、思わずスマートフォンのカメラを向けました。 2025-07-26-004.jpg かつてはミリオンライブの公演にも通っていましたが、今ではもう当時の熱量はありません。このまま自然と離れていくのでしょうか。 2025-07-26-001.jpg 2025-07-26-002.jpg 2025-07-26-003.jpg シンデレラガールズも、この秋のライブが一つの区切りになりそうです。来年以降、私が足を運ぶとしたら、おそらくシャイニーカラーズくらいだろうと思います。

秋葉原を後にして、会場のある南船橋へ向かいました。物販のために先に現地入りしていた友人と合流し、開場まで時間があったので、隣接するIKEAで遅い昼食をとることにしました。昼時を過ぎていたおかげで、レストランの席はすぐに見つかりました。
IKEAで食事をするのは初めてでしたが、カツカレーが想像以上に安く、つい調子に乗ってデザートまで頼んでしまいました。 2025-07-26-006.jpg 周囲を見渡しますと、Ave Mujicaのファンらしき人々がちらほらいます。ただ、聞こえてくる言葉は日本語ではありませんでした。友人曰く、Ave Mujicaは中国で絶大な人気を誇り、ライブにも多くのファンが海を渡って訪れるらしいです。

食事を終え、久しぶりのIKEA店内を軽く散策してから、会場へと向かいました。 2025-07-26-005.jpg 案内された席は2階席の後方でしたが、ステージ全体を正面から見渡せる、悪くない位置です。
私自身、Ave Mujicaのアニメは一切見ていません。キャラクターの名前や背景も知らないまま、この1週間、YouTubeの公式チャンネルにあるMVを作業BGMとして流し込む、という付け焼き刃の予習で今日を迎えました。

開演して、まず度肝を抜かれたのは、その徹底された世界観でした。観客が振るペンライトの類は一切禁止。許されるのは、無線で一括制御される公式の光るブレスレットのみで、装着した観客はそれ自体が照明演出の一部と化します。場内には警備員がかなり狭い間隔で配置されており、異質なものを即座に排除するという、ある種の強い意志を感じさせました。 2025-07-26-007.jpg いつもの悪い癖で曲名はほとんど覚えていませんでしたが、予習のおかげか、全く聴いたことのない曲は2曲程度でした。後で知りましたが、それらは新曲だったようです。

何よりも、そのパフォーマンスが圧巻でした。本業が声優だというのですから、にわかには信じがたいものです。ドラムは元々プロの方らしいですが、それにしても全員の演奏レベルが高いです。ボーカルの歌声はパワフルでありながら繊細で、キーボードは激しくステージを動き回り、ギターは一度だけ鮮やかにギターを回して見せました。ベースの方は...とにかくスタイルが良かったです。

そして、ライブ中にMCは一切ありません。曲が終わると短い静寂を挟み、間髪入れずに次の曲が始まります。アンコールもなく、ほぼノンストップで駆け抜けていきました。演者たちのスタミナには舌を巻くほかありません。友人によれば、彼女たちは「捨てられた人形」という設定でパフォーマンスをしているため、ボーカルの歌声以外、言葉を発することはないのだといいます。なるほど、人形は喋らない、というわけですね。

楽曲は北欧メタルを彷彿とさせる、どこか宗教的な荘厳さを帯びていました。光は中央集権的に管理され、完璧な統一感と美しさを生み出します。そこに個人の意思が介在する余地はありません。私はブレスレットを購入していなかったので、その光の渦を少し離れた場所から客観的に眺めていましたが、世界観を完璧に構築するには、これが最適解なのでしょう。

友人から、中国で人気が出た理由について興味深い推察を聞きました。Ave Mujicaのアニメは、外的要因によって何もかもうまくいかない少女たちが、紆余曲折を経て一つにまとまる物語らしいです。この「自分の努力ではどうにもならない現状」が、中国の若者が置かれた閉塞感とシンクロしたのではないか、と彼は言います。大学を出ても就職できず、全てを諦めてしまう「寝そべり族」という若者たちの話を聞いたことがあります。彼らにとって、この物語は他人事ではなかったのかもしれません。

友人が私に対して言った「アニメは見ない方がいいかもしれない」という冗談めいた言葉も、今ならその真意が分かります。私が海外移住を考える根底には「現状を変えたい」という思いがあります。それが物語とリンクする可能性がありますし、HSP気質の私がこの物語に深く触れることで、忘れたい過去の苦労を追体験してしまうかもしれません。感情が不用意に揺さぶられるリスクを思えば、純粋にアーティストとして楽曲だけを楽しむのが賢明だ、という彼の判断には納得がいきました。 2025-07-26-009.jpg 私は世間でどれだけ評価が高くても、自分のトラウマや地雷に触れそうな作品には、意識的に近づかないようにしています。これも一種の自己防衛なのです。

今回のライブは、友人のダイレクトマーケティングに乗り、一度その世界を体験してみたいという好奇心がきっかけでした。その目的は達成されたので、おそらく私が再び彼女たちのライブに足を運ぶことはないでしょう。
ですが、楽曲は純粋に気に入りました。これからも私の作業BGMのプレイリストに残り続けると思います。それは、この強烈な一夜の、確かな収穫と言えるでしょう。

Older
Dark
Light
menu