最近、自分の英語学習のために自作しているAIスクリプトに手を入れる時間が増えました。単語を覚えたり、英会話の練習相手になってもらったりと、今では手放せないツールです。
この個人的なプロジェクトとは別に、本業の仕事においても、AIの存在感が日増しに強くなっているのを感じます。数年後には、今ある仕事の多くがAIに代替されるのでしょう。それはもはやSFの世界ではなく、すぐそこにある現実なのでしょう。AIによる失業や、AIに起因する新たな就職氷河期が始まっているという話も耳にします。
「AI失業」は対岸の火事ではない - エンジニアを襲う現実
Web業界に長く身を置く人間として、私の仕事は「間違いなくAIに喰われる職種」だと自覚しています。GitHub Copilotのようなツールが、驚くべき速度と精度でコードを生成するのを見るたびに、単純なコーディング作業の価値が急速に失われていくのを感じずにはいられません。
世間では「これからはAIだ」「エンジニアもAIを学べ」という声が大きくなっています。しかし、その言葉を真に受けて、今からAIモデルを開発する側の専門家を目指す、というのはあまりにも茨の道です。私には、残念ながらその領域でエンジニアとして渡り合えるほどの頭脳もスキルもありません。
では、諦めて単純作業をAIに奪われ、いずれ淘汰されるのを待つしかないのでしょうか。漠然とした不安だけが募り、具体的な行動を起こせずにいます。そんなエンジニアは、私だけではないはずです。
生存戦略:AIを「使いこなす側」に回るという選択
その不安の中で、私は自分なりの一つの結論に達しました。
それは、AIを「開発する」専門家になるのではなく、AIを自在に「使いこなす」専門家になる、という選択です。もしかしたら過去の日記に同じようなことを書いたかもしれませんが、何度考えてもこの結論に辿り着きます。今自分にできる対策はこれしかないだろうと。
AIを作る側の人間と、AIを使ってビジネス上の課題を解決する人間とでは、求められるスキルセットが全く異なります。そして、後者である「使いこなす側」にこそ、私のような既存の技術スタックと業務経験を持つエンジニアの活路があると考えています。
なぜなら、AIはあくまでツールだからです。クライアントが抱える真の課題が何なのか、どの業務プロセスにAIを導入すれば最大の効果が得られるのか。その「使い所」を的確に判断し、提案できるのは、長年の実務経験を持つ人間に他なりません。
「AIを使いこなす」ために、今から始めていること
では、「使いこなす」とは具体的にどういうことでしょうか。私はそれを、個人的なAIスクリプト開発の経験から学んでいる最中です。
- AIを「業務改善コンサルタント」として活用する視点を持つ まず、考え方を切り替えました。自分の日々の業務や、チームが抱える課題を洗い出し、「この作業はAIに任せられないか?」「この非効率はAIで解決できないか?」と常に考えるようにしています。AIを使いこなすとは、まずAIの「使い所」を発見し、提案できる能力を持つことだと考えています。
- 高度な指示能力(プロンプト技術)を磨く AIは便利ですが、万能ではありません。どのような指示を与えるかが極めて重要で、意図しない出力結果になることも日常茶飯事です。
指示通りに出しても意図したものを出力しない時、「なぜうまくいかなかったのか」「どこがおかしいのか」を分析し、AIの思考を誘導するように的確な指示を出し、時にはAIの出力を修正するための補助的なスクリプトを書くこと。この試行錯誤のプロセスこそが、「AIを使いこなす」スキルの核心だと個人的に思っています。 何となくですが、この勘所が分かってくると、「こう指示すれば、意図した仕様で出力してくれるだろう」というのが予測できるようになってきます。このスキルをフル活用すれば、少なくとも私が職を失うリスクは格段に下げることができるはずです。 - 自分の課題解決から始める(私の英語学習スクリプトのように) 大きな話をする前に、まずは自分の身近な課題をAIで解決してみます。私の場合は、それが英語学習でした。自分のためのツール作りは、プレッシャーなくAIとの対話をとことん試せる絶好の訓練場になり、そこから得たフィードバックを本業にも活かしています。
このブログでは、これまで自分のための備忘録を多く残してきました。しかし、今後はこのような「特定の動作をAIに実装させるためのスクリプトの書き方」や、その試行錯誤の過程こそ、記録として残すべき価値があるのかもしれない、などと考えています。
恐怖から行動へ。AI時代を生き抜くための第一歩
AIの進化は、確かに私たちの仕事を脅かす脅威です。しかし、それは同時に、私たちの価値を再定義する機会でもあります。
AIを「仕事を奪う競合」と捉えて恐怖するのではなく、自らの専門性を増幅させてくれる「強力な相棒」と捉え直すこと。そして、「自分なら、この相棒をどう使うか?」と問い続けること。その問いと試行錯誤の中にこそ、これからの時代を生き抜くエンジニアの、新たな価値が生まれるのだと信じています。
とはいえ、この「AIを使いこなす」という挑戦は、まだ始まったばかりです。次なる課題は、すでに別の形で姿を現し始めています。