シンデレラガールズの全国ツアー「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th MEMORIAL LIVE STARLIGHT STAGE」、その千秋楽となる神奈川公演。
担当である鷺沢文香が、当たり前のようにそこにいないこと。正直、当初は参加を迷いました。
ですが、これで自分の中で一つ「一区切り」をつけようと決め、結局2日間とも現地へ足を運ぶことにしました。
【1日目】
Kアリーナに2時ごろ到着したものの、あまりの暑さに身動きが取れず、早々に会場入りしてしまいました。初日は、もちろん文香のユニフォーム(ユニ)を着て。
改めて整理すると、私の担当は、鷺沢文香、三村かな子、藤原肇、依田芳乃、大石泉、久川凪の計6名。このうち、三村かな子、藤原肇、依田芳乃、久川凪の4名が初日に集中していました。
結果として、この「担当集中日」であった初日の方が、私にとっては強く印象に残る公演となりました。
忘れられない1日目。オリメンと「生バンドの暴力」に圧倒されたセトリ感想
セトリ全体が良かったのは言うまでもありませんが、特に記憶に残っているのはこのあたりです。
ようやく見届けたオリメン「Sweet Witches' Night」と、文香を想う「ささのはに、うたかたに」
まずは「Sweet Witches' Night 〜6人目はだぁれ〜」。ようやく、本当にようやくオリジナルメンバー(オリメン)でのパフォーマンスをこの目で見届けることができました。
そして、「ささのはに、うたかたに」。これはもう、毎回聴くたびに「ここに文香がいてくれたら」と思わずにはいられません。また、山紫水明による「流星浪漫」。これはもうオリメンがどうとかいう次元ではなく、ただただ「フル尺でやってほしい」と切望しました。あの世界観は、もっと長く浸っていたかった。他にも「サマーサイダー」「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」「美に入り彩を穿つ」「Tulip」など、濃密な時間が過ぎていきました。
理屈を超えた衝撃。肇×美優の「Nocturne」に崩れ落ちた理由
その中でも、この日の全てを持っていったと感じたのが「Nocturne」です。
生バンド演奏。静かなバラードアレンジから始まった時点で「何か」を予感しましたが、メンツが肇と美優だと認識した瞬間、私は文字通り崩れてしまいました。
SS3A(2018年)で浴びた、あの圧倒的な歌唱力の記憶が瞬時に蘇りました。身も蓋もない言い方をすれば、これはもうキャラクターではなく、「キャスト(の中の人)の歌唱力」という純粋な暴力に圧倒されたということです。理屈ではありませんでした。
「ハイファイ☆デイズ」と、10年が作り上げた「お願い!シンデレラ」
終盤の「ハイファイ☆デイズ」では、私もUOを折り、文字通り頭を空にして楽しむことができました。
そして、この日、特筆すべき出来事がありました。途中、音響トラブルが発生したのです。スタッフの方々は気が気ではなかったと思いますし、トラブルはないに越したことはありません。
しかし、その静寂と困惑の中、キャストの機転(だと思います)から、会場のオタク、おもといプロデューサー(P)たちの「お願い!シンデレラ」の合唱が始まったのです。
この光景を前にして、トラブルをただ笑って受け入れ、即座にこうして一体化できる「関係性」こそが、このコンテンツが10年間積み重ねてきたものの厚みなのではないか、と感じ入りました。(もちろん、私はこうしたトラブルには寛容ですが、そうではない人がいることも承知しています)
ライブが終わり、会場を出る頃には、もう22時を過ぎていました。
【2日目】
2日目は、藤原肇のユニを着て会場をうろつきました。
今更ながら「これは初日に着るべきだったろう」と自分にツコミを入れながら......。
2日目のハイライト:「スバル」「Trinity Field」と担当・大石泉
2日目は、まず1曲目が「お願い!シンデレラ」だったことに驚かされました。
セトリの中で特に印象に残ったのは、やはり担当の泉が参加していた「スバル」と「Trinity Field」です。担当がステージに立っているというだけで、視線の追い方も変わってきます。
社畜の悲哀脳内変換「Home Sweet Home」と、生バンドが映えた「レッド・ソール」
「Home Sweet Home」。これはもう私の中で完全に、「会社に監禁されて自宅に帰れず、もはや会社で生活しているレベルのブラック企業の社畜の物語」として脳内変換されるようになってしまいました。現在の私の労働環境(リモートワーク中心)とは異なりますが、かつてここまで酷くないものの、徹夜が常態化していた会社での経験を思い出し何とも言えない気分になります。
「レッド・ソール」は、欲を言えばオリメンで聴きたかったですが、メンバーが1日目・2日目で分かれてしまった以上、これは仕方ありません。それでも、生バンドで聴く「レッド・ソール」は最高でした。特にトランペットの音色がセクシーで、聴き惚れました。
最後の「GOIN'!!!」は、久しぶりに現地で聴いた気がします。それでも、コールは完全に体に染み付いており、何ら問題なく叫んでいる自分がいました。
久しぶりの「名刺交換」。失いかけていた他者とのコミュニケーション
この日は、過去に制作した名刺を持って、Pさんたちとの交流も試みました。 ここ最近のライブ参加では、積極的に交流しないことが半ば常態化していました。
日常で無意識にも意識的にも「他者」に対して恐怖やストレスを感じることが多くなり、意図的に人を避ける傾向が強まっていた自覚があります。 ですが、今回は顔見知りのPさんたちと再会し、会話を楽しむことができました。まだ自分にもコミュニケーションを取る能力は残っていたようです。これは、ある種の安堵でした。
私がデレマスから「完全に離れることはない」だろう
「一区切り」は既についていた。
すでにゲーム自体の更新停止はアナウンスされていますが、将来的に何らかのアップデートがあり得るのかもしれません。シンデレラガールズの次回のキャストライブは2026年11月末とのこと。約1年先です。
個人的には、2021年に「Bright Blue」を、そして2024年に「銀河図書館」を現地で、生の歌声を浴びた時点で、私の中でライブに対する一つの区切りは既についていました。


今後はXRライブを増やしていく方針なのでしょうが、私はXRライブにはあまり興味がありません。おそらく、これまでのように毎回必ず参加、ということはなくなると思います。行くかどうかは、純粋にキャスト次第です。
なぜ現地回数を減らすのか?「気軽に行けない環境」への移行という現実
このように、現地の回数を減らす方向に舵を切るのには、明確な理由があります。
それは、いずれ私自身が「ライブに気軽に行けない環境」へ本格的に移行することになるからです。具体的には、海外移住への準備を本格化させており、資金形成と時間の確保が最優先課題となっています。
日本社会の構造的な問題から脱却し、残りの人生を穏やかに過ごすという目標のため、リソースの再配分は必須です。そのため、今のうちから徐々にコンテンツとの距離感を調整し、「離れる」準備をしていた、というのが正直なところです。
私は「虚構」に救われた
とはいえ、このコンテンツから完全に離れることは、今のところないと思います。
それくらいに自分の中では長く深く浸かったコンテンツであり、何より、精神的に不安定だった時期を支えられ、この「虚構」の世界に浸ることで精神的な安定を取り戻し、「生きながらえた」という事実があるからです。
各々がそれぞれの思いを抱いて参加した千秋楽だったと思います。私もまた、複雑な感情と、単純な感動と、そして深い感謝を胸に次のステージに進もうと思います。