腹は減っているはずなのに、人混みを見た瞬間に足が止まり、気付けば店とは逆方向へ歩き出していました。
これは単なる気まぐれではありません。HSP(Highly Sensitive Person)という気質が持つ高性能センサーが、食欲よりも「消耗回避」を優先させ、自動的に防御行動をとらせた結果です。
最近、人混みに、単なる人口密度とは違う特有の「重さ」を感じます。「列を乱すな」「早くしろ」「空気を読め」。全員が全員を監視し合う無言の圧力。
誰かの舌打ち、これら情報の洪水を「自分ごとの情報」として受信してしまうため、食事をする前に脳のメモリがオーバーフローを起こしてしまいます。だからこそノイズキャンセラーイヤホンで自衛しているのですけれど。
あたりに充満するピリピリとした空気は、私にとって毒ガスに近いものです。
「一般市民」という新たな地雷原
なぜここまで過敏になるのか。それは現代日本において、リスクの所在が変化したからだと分析しています。かつて「因縁」をつけるのはその筋の人たちの役割でしたが、今は「一般市民」がその主役です。
駅でわざとぶつかり、謝罪を強要したりSNSで晒したりする「当たり屋」のような人々。満員電車やエスカレーターという「密室」で疑われれば、その時点で社会的信用を寝技で絞め落とされる冤罪リスク。
「あいつはルールを守っていない」と認定すれば、制裁を加えてもいいと勘違いした「正義マン」の徘徊。
さらに、トラブルが起きれば「責任のトリクルダウン」が発生します。権限のある人間は逃げ出し、現場にたまたま居合わせた人間に全ての責任が雪崩込む。
「説明責任」や「配慮不足」という言葉で断罪される現代において、「何もせず、誰とも関わらない」ことが、悲しいかな唯一の最適解になってしまっています。
リスクの「質」を選択する
当然海外にも治安リスクはあります。しかし、日本とはリスクの「質」が決定的に違うと考えています。
日本のリスクは「陰湿・寝技型」です。敵が見えず、ルールや空気を盾に精神的に拘束され、社会的に抹殺されます。
対して海外のリスクは「物理・打撃型」です。泥棒や強盗など、敵がわかりやすい。「夜道を歩かない」等の物理的な防衛で回避率を上げられます。
私は、見えない敵に精神を削られるより、見える敵に対処する方を選びたいのです。精神を削ってまで、この日本の「空気」に合わせ続ける義理はもうありません。
感情を騙せないリアリストのためのツール
年末年始を活用して自分向けのWEBサービスを作っていたのですが、そのうちの一つが「嫌なことを紙に書き出して破り捨てる」という心理テクニックを、Web上で再現したものです。
【感情デトックスツール】
正直に言えば、私自身はこのツールを使ってもスッキリしません。私は面倒くさいリアリストであり、「どうせ画面上の演出だろう」と冷めてしまい、自分自身の脳を騙すことができないからです。
ですが、だからこそこのツールは徹底的な「HSP仕様」になりました。
共感も保存もされない安心感
まず、共感の押し売りを排除しました。AIによる「辛かったですね」といった慰めは一切ありません。HSPにとって、他人の感情(たとえAIであっても)は時にノイズになります。ただ機械的に処理する冷たさが、逆に心地よいのです。
次に、送信ボタンのない安心感を設計しました。入力されたテキストはサーバーには一切保存されず、ブラウザ上で画素となって消えます。「誰かに見られるかも」「誤送信したら」という微細なストレスすら排除しました。
「慰めはいらない。ただ、脳のメモリを解放したい」
そんな人には刺さるかもしれません。制作物は今後この一覧に反映しようと思います。
