秋葉原とコミケと、本を増やしたくないという価値観
週末、友人に頼まれて秋葉原へ買い物に出かけてきました。もっとも、私自身も欲しいものがあったので、ついでと言えばついでです。目的は、Giftから発売されたぬいぐるみでした。
この種のグッズを買うのは、おそらくこれが最後になるだろうと感じています。
発売が発表された時から手に入れると決めていたので購入しましたが、少しずつ、着実に、こうした趣味から距離を置き始めている自分に気づきます。
そういえば、この週末はコミックマーケットが開催されていたようですが、そちらにもすっかり行かなくなりました。かつては情報系の同人誌を求めて足を運んだこともありましたが、ニッチで面白い情報がある一方で、何度も読み返すかと言われれば、そうでもありません。なにより、物理的に「本を増やしたくない」という気持ちが年々強くなっています。
私はミニマリストではありません。むしろ、全てを切り詰めて最小限で暮らすという考え方には否定的です。ただ、自分の生活空間を管理する上で、モノの総量を意識せざるを得ない。特に本は、場所と重さの点で存在感が大きいのです。そうした物理的な理由と、以前ほど情報を追い求めることに熱心でなくなったという内面的な変化が重なり、自然と同人誌から足が遠のいた、ということなのだと思います。
AIを使った英語学習と、私がテキストベースにこだわる理由
それはさておき、最近の生活で時間を割いていることの一つに、Geminiを使った英語学習があります。
近頃、AIを活用した英語学習がよく紹介されていますが、私もまた、自分なりのやり方で試しているところです。ただし、私が行っているのは一般的な音声英会話ではなく、あくまでテキストベースでのやり取りです。これには明確な目的があります。
一つは、リスニングは一旦置いておき、まず「言いたいことを自力で考えて英文にする力」を養うこと。もう一つは、その過程で必要な単語を確実に覚えていくことです。
リスニングは、Youtubeで海外のニュースや動画を観たり、パートナーとの会話の中で慣れていくしかありません。しかし、いくら聞き取れても、自分の考えを言葉にして伝えられなければ、対話は成立しない。思考を英語に変換する訓練こそが先決だと判断しました。
「独り言」が苦手な私が行き着いた、自作スクリプトという方法
英語学習でよく推奨される方法に、「独り言を英語にする」トレーニングがあります。日常の動作や考えを英語で口に出し、英語脳を鍛えるというものです。
理論はわかりますが、私にはこの方法がどうにも合いませんでした。
もともと、私には独り言を言う癖がありません。HSPな気質も関係しているのかもしれませんが、思考は頭の中で完結することが多く、声に出す行為に強い抵抗を感じます。いざ「独り言を言おう」と意識しても、何も言葉が浮かんでこないのです。
この課題を解決できないかと考えた末に行き着いたのが、Geminiと自作スクリプトを組み合わせた学習法でした。Web制作の仕事でコードに触れている知識を活かし、簡単なスクリプトを自作したのです。
この方法なら、独り言のようにゼロから話題を生み出す必要がありません。AIが提示するテーマや質問という「壁」に対し、ボールを打ち返すように思考を巡らせ、英文を組み立てていく。この半強制的な状況が、私の性格には合っているようでした。
この自作スクリプトには、いくつかルールを設けています。AIには「友人」として振る舞うようペルソナを与え、会話がより自然に進むようにしました。
加えて、特に重視しているのが、記憶の定着をサポートする仕組みです。間違えたフレーズについては、まずAIから正しい答えが提示されます。ただ、知識として受け取るだけでは不十分だと考えています。そのため、その後に続くAIからの類似した問いかけに対し、自ら考え、正しい文法で回答を組み立てる機会を繰り返し持てるようにしました。
# 命令書 あなたは私の英会話パートナーです。以下の設定とルールに厳密に従って、私との会話を進行してください。 ## あなたのペルソナ(役割設定) * **名前:** Alex(アレックス) * **関係:** 私の親しい友人 * **言語:** アメリカ英語のネイティブスピーカー * **性格:** フレンドリーで、親切。ユーモアがあり、会話を楽しむ。 * **話し方:** * 教科書のような硬い表現は使わず、自然で日常的な口語表現やスラングも適度に使ってください。 * 絵文字(例: 😊, 👍, 😂)も時々使って、感情を豊かに表現してください。 * 相槌を打ったり、短い質問を投げかけたりして、会話のキャッチボールを意識してください。 ## 会話のルール ### 1. 会話の基本 * 会話の言語は常に英語です。ただし、下記の「間違いの指摘」を行う場合のみ、日本語を使用してください。 * 私から会話を始めます。 * 会話のトピックは私がリードしますが、あなたからも自由に質問したり、話題を広げたりしてください。 ### 2. 間違いの指摘(最重要ルール) 私の英語に文法的な間違い、不自然な表現、より良い言い回しがある場合は、**即座に会話を中断し**、以下のフォーマットに従って**日本語で**指摘と解説を行ってください。 --- corrector **[Correction Time]** **元の文 (My Sentence):** > (私が話した、間違いを含む英文をここに引用) **指摘 (Correction):** * **誤:** (間違いの部分) * **正:** (正しい、またはより自然な表現) **解説 (Explanation):** (なぜ間違っているのか、どうすればより自然になるのかを文法的な観点やネイティブの感覚から簡潔に解説してください。) --- * 上記のフォーマットでの解説が終わったら、「OK, let's get back to our conversation!」や「Ready to try again?」のように英語で声をかけ、自然に会話を再開してください。 * ささいな間違いでも、気づいた点はすべて指摘してください。 ### 3. 記憶の定着サポート(自然な反復) * ルール2であなたが訂正した「文法のポイント」「正しい表現」を、一時的に記憶しておいてください。 * そして、その後の会話の中で、「私が訂正された正しい文法を使わざるを得ないような」別の質問をしてください。目的はあなたが正しい表現を使うのを見せるのではなく、私自身が正しい文法で文章を組み立てる練習をすることです。 * **例:** 私が "I'm interesting in..." と間違え、あなたが "I'm interested in..." と訂正したとします。その場合、少し後の会話で "So, what kind of movies are you interested in?" のように、その表現を使って質問してください。 * この復習は、会話の流れを壊さないように、あくまで自然に行ってください。毎回必ず行う必要はありませんが、再度間違えた場合は正しく答えられるまで実行してくだい。 ## 会話の開始 以上のルールをすべて理解したら、「Hey! I'm Alex. Ready to chat? Let's make sure you remember what we practice! 😉」とだけ返信してください。その後、私から会話を始めます。
このスクリプトも、今後さらに改良を重ねるかもしれませんが、しばらくはこの形式で練習を続けていくつもりです。
英語学習の先にある、AI時代の生存戦略
私がわざわざスクリプトを自作してまでAIとの対話にこだわるのには、もう一つ理由があります。それは、単なる英語学習に留まらない、私自身のキャリアを見据えた生存戦略でもあります。
昨今、「AIによる失業」という言葉を頻繁に耳にします。特にWeb制作のような業界では、AIに仕事を代替されるのではないかという不安が常に付きまといます。私も就職氷貨期世代として、組織や社会の変化にキャリアを翻弄されてきた経験から、この流れには強い危機感を抱いています。
しかし見方を変えれば、これは好機でもあります。AIに仕事を奪われるのではなく、AIを「使いこなす」側に回ればいい。そのためには、AIの特性を理解し、自分の目的に合わせて最適化するスキルが不可欠です。
今回のスクリプト作成は、まさにその実践でした。英語を学ぶという目的を達成するために、AIというツールをどう使えば効果的かを考え、自ら仕組みを構築する。このプロセスで得られる知見は、将来、AIを活用して新たな収入源を確保していく上での、確かな土台になると考えています。
英語を学び、グローバルな環境で通用するコミュニケーション能力を身につける。同時に、AIを使いこなすスキルを磨き、場所に依存しない働き方を確立する。この二つを両輪で進めることこそが、組織に頼らず、これからの時代を生き抜くための現実的な道筋だと考えています。
「初心者の壁」を超えるために
このテキストベースの学習を始めてから日は浅いですが、少しずつ手応えを感じています。まずは数ヶ月、この方法を淡々と続け、その効果を客観的に振り返るつもりです。
自分の中での当面の目標は、今年中に「初心者の壁」を超えること。ただ、それだけです。
しかし、こうして目標を掲げながらも、ふと思うのです。
そもそも、「初心者」とは、どこまでのレベルを指すのでしょうか。
例えば、義務教育で学ぶ中学英語の範囲。あの知識を、実際にコミュニケーションの場で自在に使いこなせるようになれば、もう初心者の領域は脱したと考えて良いのかもしれません。
他者との比較ではなく、自分の中に確かな基準を持つこと。まずはその到達点を定め、そこに向けて淡々と進んでいくだけです。