思ったよりも人がまばらな祝日の東京駅、京葉線のホームに私は立っていました。目的は一つ、「放課後クライマックスガールズ外房の旅」に参加するためです。
昨年も参加したこの企画。自発的に遠出をすることは減ってきている私ですが、こうした明確な目的があると、不思議と足が動きます。ある意味、こうでもしないと私はなかなか外に出ないのかもしれません。
傍らには、もちほわ凛世ちゃん。今年は、この日のために購入したと言っても過言ではない、ぬいぐるみ持ち運び用の透明なバッグに入れてきました。
昨年使ったオリジナルのケースも良かったのですが、あれは一時凌ぎのお手製だったのと、機動性を上げたかったのです。来月に控えているライブへ持っていくことも想定しての先行投資、といったところでしょうか。ただ、透明なだけに移動中は人目も気になり、結局、写真を撮る以外はリュックの中に収納していました。
特急わかしおに乗車し、凛世ちゃんと共に、短い旅の始まりです。
大原駅にて、旅の始まりといすみ鉄道の今
最初の目的地、大原駅に到着しました。今回の旅はここから始まります。駅構内には、今回の目的の一つである小宮果穂ちゃんのポップが設置されていました。
同行してくれた友人が果穂P(プロデューサー)なので、ここへの立ち寄りは必須事項。
彼のミッションが一つ達成されたのを見届けて、私も安堵します。
ふと、隣接するいすみ鉄道のホームに目をやりました。昨年はこのローカル線に乗って移動したのですが、現在はプラットフォームに車両が置かれたまま、静まり返っています。
昨年脱線事故が発生し、線路の不備が治せず、運休が続いているとのこと。
保線のための資金繰りが難しい、という現実があるのでしょう。乗降客数の少ない第三セクターの鉄道は、どこも似たような構造的な問題を抱えているのかもしれません。
華やかなコラボ企画の裏側で、地方交通の厳しい現実を垣間見た気がしました。
昨年、偶然にも乗ることができたあの列車が、私にとって最初で最後のいすみ鉄道乗車体験になってしまう可能性も、ゼロではないのかもしれません。
鵜原から上総興津へ、凛世を巡る道程
JR大原駅からJR鵜原駅へ移動。駅から15分ほど歩き、レストランやスパが入る「Eden」という施設へ向かいます。目的は、杜野凛世ちゃんのミニポップです。
無事にポップと対面し、バッグに入ったままのもちほわ凛世ちゃんと一緒に写真に収めました。正直なところ、いちいちケースから出すのが億劫だった、というだけの話なのですが。
駅へ戻る途中、少しだけ海を眺める時間がありました。
この日の外房の海は、波が高く、荒々しい表情を見せていました。
再び電車に乗り、上総興津駅で下車。
駅近くの「和食 おしだり寿司」が昼食場所です。
ここで食事をすると凛世ちゃんのカードがもらえるため、旅程の確定事項でした。
店内にはすでに数名のプロデューサーさんらしき方々が。店員さんの対応も非常に手慣れたもので、このコラボが地域に根付いていることを感じさせます。
マグロがメインの御膳を注文しました。これを注文すると前述の凛世ちゃんのカードがもらえるため、この注文もまた確定事項でした。
実を言うと、私は魚介類全般があまり得意ではありません。特に磯の香りが強いものは苦手なのですが、ここのお寿司は生臭さが全くなく、美味しくいただくことができました。
気分が良くなったのか、ビールが飲みたいという友人に便乗し、瓶ビールを注文してシェアしました。
「凛世ちゃんビールだよ」
安房鴨川、ノルマ達成と旅の癒し
上総興津駅から、安房鴨川駅へ。ここには、凛世ちゃんと、園田智代子さんのポップが並んでいました。
これにて、私が個人的に課していたノルマは全て達成です。
そして、今回の旅の最終目的地である、鴨川グランドホテルへ向かいました。
目的は、日帰り入浴です。ここには果穂ちゃんのミニポップがあり、入浴することで彼女のカードがもらえました。
帰りの電車の時間まで、ここで旅の疲れを癒すことにしました。
私は元来、大浴場があまり好きではありません。HSP気質ということもありますが、他者との距離感が近い空間が苦手で、一人旅で温泉旅館に泊まる際も、人のいなさそうな時間を狙って入るようにしています。
幸い、この日はたまたまなのか、他に客がほとんどおらず、広々とした内風呂と露天風呂を、友人と二人、静かに満喫することができました。
長湯ができない体質なので、のぼせないようにこまめに出入りを繰り返しながら、いつもより少しだけ長く湯船に浸かりました。露天風呂で交わす、とりとめのない会話。普段の生活の中では、なかなか得難い時間です。
湯上りには、アイスクリームをいただきました。
もちろんチョコミントです。完璧な締めくくりです。
帰路と、私が田舎に住まないと決めている理由
帰りのわかしおに揺られながら、東京へと戻ります。今回は、友人とあらかじめ移動経路と電車の時刻を綿密に調べていたため、非常に効率的に移動することができました。
旅の最後に温泉を持ってきたのも、計画の妙と言えるでしょう。日々の業務で蓄積した疲労が、少しだけ洗い流された気がします。
この「放課後クライマックスガールズ外房の旅」という企画は、来年もあるのでしょうか。あれば、また参加するかもしれません。こうした企画があるからこそ、普段出不精の私も、こうして外に出ている。そんなことを考えながら車窓を眺めていました。
今回の旅で訪れた外房エリアは、都心とは違い、時間がゆっくりと流れていました。それは確かに心地よいものです。しかし、私が普段、人の波に疲弊しながらも「田舎に住みたい」とは微塵も思わないのは、明確な理由があるからです。
私は、田舎が持つ独特の閉塞感や排他性、そしてそこに住む人々の、相手の領域に無自覚に土足で踏み込んでくる距離感の近さを、過去の経験から知っています。それは、私のような人間にとっては、静かな環境がもたらすメリットを遥かに上回るストレス要因です。
リモートワーカーでありながら、私が都心から少しだけ離れた現在の場所を離れないのは、そのためです。適度な匿名性と、物理的にも精神的にも他者との距離を保てる環境。それが、今の私にとっては最適解なのだと、この旅を通じて再確認したのでした。