セブ旅行の始まり

自分で手配する旅

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セブ旅行の始まり

早朝の便に乗り遅れるという最悪の事態を避けるため、空港近くのホテルに前泊しました。「もし、二度寝してしまったら......」。そんなプレッシャーからか眠れず、仕方なく深夜アニメを見て過ごすことに。

普段、アニメはAmazonプライムで見るのが習慣ですが、今回はホテルのテレビで久しぶりに深夜アニメを眺めました。「世の中ではこんな作品が放送されているのか」などとぼんやり考えているうちに睡魔がやってきたものの、結局15分か30分おきに目が覚める始末。これでは寝ているのか起きているのか分かりません。

諦めてベッドから起き出したのは、まだ夜の気配が濃い午前4時前。どうせ眠れないのなら、いっそ動き出そう。熱いシャワーを浴びて無理やり意識を覚醒させ、荷物の最終確認を済ませます。 2025-07-13-001.jpg 午前5時前、フロントへ向かうと、私の他にも同じようにスーツケースを引く人がいました。おそらく、行き先は違えど目的は同じなのでしょう。
駅のホームに滑り込んできた電車に乗り込み、一路空港へ。こうして、私のセブへの旅は始まりました。

空港でのミッション

空港に着いてからやるべきことは決まっています。一つずつ、淡々とこなしていくだけです。

グローバルWi-Fiの受け取り

まずは、海外での生命線ともいえるインターネット環境の確保です。事前に予約しておいた「グローバルWiFi」の受け取りカウンターへ向かいます。
送られてきたQRコードを、指定されたロッカーの端末にかざすだけ。すると、「ガチャン」という小気味よい音と共にロッカーの扉が開きます。中には、Wi-Fiルーター一式が入ったポーチ。実にスムーズで、誰とも会話する必要がないのが、私のような人間にはありがたい限りです。

スマートチェックインとの再戦

次なるミッションは、航空券の発券と荷物の預け入れ。セブパシフィック航空のカウンターへ行く前に、スマートチェックイン端末でチケットを発券する必要があります。 2025-07-13-002.jpg しかし、前回この端末にひどく手こずった記憶が蘇りました。焦りとプレッシャーで画面の英語が頭に入ってこず、何度もやり直した末、結局はスタッフの方に助けてもらったのです。

陳腐な言葉ですが、これほど確かなことはありません。今回は時間に十分な余裕を持って空港に来ました。焦る必要は何もない。ゆっくりと、一つ一つの単語を読み解いていきます。画面の指示に従ってタップしていくと......無事、搭乗券が印刷されて出てきました。手荷物預け入れカウンターで荷物を渡し、これで大きな関門を一つ突破です。

最近、格安航空券の予約サイトであるAgodaがトラブルを起こし、予約したはずの航空券が発券されない、ホテルが予約できていないといった騒動がSNSを賑わせていました。私も今回のチケットは別の予約サイト経由で手配していたので、正直、この搭乗券を実際に手にするまでは一抹の不安を拭えませんでした。

「自分は大丈夫だろうか」と。

格安で便利なサービスには、常にリスクが伴います。人件費を削り、システムで代替するからこそ、その価格が実現できるのです。トラブルが起きたとき、手厚いサポートは期待できないかもしれません。
だからこそ、利用する側には「自己責任」と「主体性」が求められます。予約確認メールは隅々まで目を通したか。予約番号は控えてあるか。何かあった時に問い合わせる連絡先は把握しているか。そうした基本的な確認を怠らないことが、リスクを最小限に抑える唯一の方法なのでしょう。

幸い、私の予約に問題はありませんでした。これは、たまたま運が良かっただけなのかもしれません。しかし、こうした一つ一つの経験が、「自分で手配する」ことの解像度を上げてくれるのだと信じています。
ほっと一息つき、ベンチで昨日スーパーで買っておいたアップルパイを食べました。 2025-07-13-003.jpg これが、今日の朝食です。

スムーズに手荷物検査を突破

保安検査場へ向かう前にも、前回の失敗から学んだことがあります。それは、ウェットティッシュの機内持ち込みです。
前回、何気なくカバンに入れていた除菌用のウェットティッシュが保安検査で「液体物」と見なされ、見事に引っかかりました。カバンを開けて説明し、中身を一つ一つ確認されるあの時間は、私にとってなかなかのストレスでした。
今回はその教訓を活かし、ウェットティッシュ類はすべてスーツケースに入れ、預け入れ荷物に。対策は功を奏し、保安検査場は何事もなくスムーズに通過できました。これもまた、小さな成功体験です。

搭乗ゲートに着くと、フライト情報に変化がありました。出発時刻が少し遅れているようです。おそらく、今まさに荷物を降ろしているこの飛行機が、私の乗る便なのでしょう。 2025-07-13-004.jpg いわゆる「折り返し便」です。
そういえば、2回目のセブ旅行でもこの時間の便に乗ったはずですが、不思議なことにその時の記憶がほとんどありません。どんなフライトだったか、何を感じたか、すっぽりと抜け落ちています。人間とは、かくも忘れゆく生き物なのでしょうか。それとも、よほど印象に残らない平穏なフライトだったということでしょうか。

やがて搭乗開始のアナウンスが流れました。彼女に「今から乗ります」とメッセージを送り、スマホを機内モードに切り替える。いよいよ、彼女のいる場所へ。
機上の人となり、飛行機が滑走路を力強く駆け上がっていきます。身体がシートに押し付けられる感覚と共に、私はセブへと向かいました。

私がコンドミニアムを選ぶ理由

離陸後、しばらくはアイマスクをして仮眠を取りました。ホテルで眠れなかった分を取り戻すかのように、意識が深く沈んでいきます。
目が覚めてから、この文章を書いています。朝からの出来事を、一つ一つ思い出しながら。時折、機体がガタガタと揺れますが、この程度の乱気流は想定の範囲内です。

前回は空港で比較的すんなり彼女と再会できましたが、今回はどうでしょうか。そんなことを考えていると、ふと、今回の旅の「宿」について書き残しておきたくなりました。
私が海外旅行を手配するとき、かつてはHISのような旅行代理店を利用していました。特に初めてのセブ旅行では右も左も分からず、パッケージツアーの安心感は何物にも代えがたかったのです。 しかし前回から私は、Booking.comのような予約サイトを使い、自分で宿泊施設を手配しています。その理由は、とてもシンプルです。

彼女の願いを、叶えるためです。

彼女は、私と会える時間をとても楽しみにしてくれています。そして、その時間の中で「一緒にスーパーで買い物をして、一緒にキッチンに立って、一緒に料理をして、一緒に食事をしたい」と、そう望んでいるのです。
ごく当たり前の日常の風景。しかし、遠く離れて暮らす私たちにとっては、それこそが何よりも特別で、かけがえのない時間なのです。

そうなると、選択肢は自ずと「コンドミニアム」に絞られます。キッチンがあり、リビングがあり、まるでそこで生活しているかのような時間を過ごせる場所。
HISのような代理店が取り扱うのは、基本的にはリゾートホテルです。もちろん、素晴らしいホテルばかりですが、そこには私たちの望む「日常」はありません。そして何より、そうしたホテルはどうしても割高になります。私が全額支払うと申し出ても、きっと彼女は「そんなに高いところは......」と遠慮してしまうでしょう。彼女のそういう健気で優しい性格を、私はよく知っています。

だから、私たちはコンドミニアムを選びます。Booking.comのようなサイトを使えば、現地のオーナーが貸し出している様々なタイプのコンドミニアムを、比較検討しながら選ぶことができます。 そして、ここにも「自分で手配する」ことの、もう一つの大きなメリットがあります。それは、予約後に宿泊施設のオーナーと直接チャットでやり取りできることです。
チェックインの方法、部屋の設備、周辺の環境。分からないことがあれば、いつでも質問できます。今回のオーナーも前回のオーナーも、私の拙い英語の質問に、いつも迅速で丁寧な返信をくれました。(セブの場合は、英語かタガログ語でのやり取りになります)
この事前のコミュニケーションを通じて、オーナーの人柄や信頼度をある程度推し量ることができます。これは、顔の見えない相手と取引する上で、非常に重要な安心材料です。人件費を削ったサービスだからこそ、こうしたユーザー同士の直接的なコミュニケーションが、それを補完する役割を担っているのかもしれません。

結局のところ、旅費を抑えようと思ったら、自分で動くしかないのです。航空券を探し、宿を探し、現地の情報を調べる。そのプロセスには、確かに手間がかかります。時には、失敗もするでしょう。
しかし、その一つ一つの手間や失敗が、旅をより深く、より豊かなものにしてくれる。そして何より、大切な人のささやかな願いを叶えるための、主体的で愛情のこもった「選択」なのだと、私は信じています。

飛行機は緩やかに降下を始めました。窓の外には、島や海が見えています。
もうすぐ、セブに到着です。

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