すべての始まりはOSのサポート終了通知
Windows 10のサポート終了が近づいている、という通知がすべての始まりでした。今使っているPCは残念ながらWindows 11へのアップグレードに対応しておらず、更新の必要に迫られました。
調べてみると、このPCを組んだのは11年も前のことでした。
CPUはずっとCore 2 Quadだと思い込んでいたのですが、実際にはCore i7-4771だったようです。自分の記憶のあてになさに、我ながら驚愕します。この11年の間にマザーボードとグラフィックカードは故障で交換し、メモリも16GBから32GBへ増設してはいますが、それでも随分と長い期間、この構成で戦ってきたことになります。
パーツ調達と事前準備
事を先延ばしにしても仕方がないので、交換パーツを求めて秋葉原へ向かいました。訪れる度にかつての秋葉原らしさみたいなものが失われているように感じます。店内に入りしばらく価格表やパーツを見て回り、ようやく店員へ声をかけました。私はどうしても緊張してしまい声をかけるのに時間がかかるのです。幸いにも、店員の方がこちらの曖昧な予算感や用途を汲んで親切にアドバイスをくれたので、パーツの選定は比較的すんなりと決まりました。ただ、購入したパーツ一式は思った以上に重く、寄り道をする気力もなく、わりとすぐに帰宅の途につきました。
偶然立ち寄った店で256GBのUSBメモリが目に入りました。
交換前にCドライブのファイルをバックアップするのに丁度よさそうだったので購入。これくらいの容量があれば、何かと使い勝手も良さそうです。
これまでメインで使っていた16GBのUSBメモリは、今回Windows 11のインストールメディアとして役割を与えることにしました。
ショップの店員さんから、Microsoftの公式サイトから最新版をダウンロードしてインストールメディアを作成した方が、後のアップデート作業を短縮できるとアドバイスを受けたためです。この日はデータのバックアップとインストールメディアの作成までを終え、床に就きました。
新しい構成と「任せる」という合理的な選択
翌朝、早速PCの更新作業に取り掛かりました。当初はケース、電源、グラフィックボード、HDDは使い回す予定でしたが、11年という歳月を考慮すると電源の経年劣化も無視できず、結局これも交換することに。結果的に、ほぼすべてのパーツを入れ替えることになりました。
- CPU: AMD Ryzen 7 9700X BOX
- CPUクーラー: MUGEN6 Black Edition SCMG-6000DBE
- マザーボード: MAG B650 TOMAHAWK WIFI 【PCIe 4.0対応】
- メモリ: Crucial|クルーシャル PC5-44800 (DDR5-5600)288pin UDIMM 32GB(16GB×2枚) CT2K16G56C46U5
- SSD: KIOXIA EXCERIA PRO NVMe SSD-CK2.0N4P/J EXCERIA PRO SSDシリーズ M.2 PCIe4x4 NVMe Type2280 2TB
- 電源: ANTEC GSK850 ATX3.1 [ATX3.1電源 80PLUS GOLD認証 GSK 850W]
- OS: Microsoft|マイクロソフト Windows 11 Pro 日本語版
8コア16スレッドで省電力に優れたCPUとマザーボードが個数限定で販売されていました。PCは長時間利用することが多いのでCPUの省電力性を考慮しました。また、マザーボードは高機能というわけではなさそうでしたが、店員に聞くと私の使用用途であれば問題ないとのアドバイスを受けました。CPUとマザーボードを別で購入するとそれだけで10万近くになりそうだったので「Ryzen 7 9700X」と「MSI MAG B650 TOMAHAWK WIFI」のセットを購入しました。
メモリは当面32GBあれば十分と判断、足りなくなったら追加するつもりです。 SSDはM.2で余裕を持たせて2TB。電源はグラフィックボードを載せ替えることを考慮して850W、更新前の電源が750Wだったので100W増えたことになります。
CPUやメモリ、SSDといった繊細なパーツの取り付けは、失敗のリスクと常に隣り合わせです。ショップでは3千円弱で取り付けサービスを提供しており、パーツごとに個別の掛け捨て保証を付けるよりも確実で安価だと判断しました。私はあらかじめホームページでサービスの存在を把握していたので、迷わず依頼することにしました。当初はCPUの取り付けのみを考えていましたが、メモリチェックやSSDの取り付けも含まれるサービスを提案され、工賃も許容範囲内だったので、その提案を受け入れました。
先に紹介した256GBのUSBメモリはこの取り付け作業中の待ち時間中に訪れた店で購入したものでした。
私の場合、自作PCは「組み立ての過程を楽しむ」ことよりも、「自分好みの仕様のPCを構築する」という目的の方が優先されます。であるならば、リスクの高い作業を専門家に委託するのは、合理的な選択だと思っています。
組み立て作業:ホコリとCPUクーラーとの格闘
そういった経緯で、今回の私の作業は、既存パーツの取り外し、電源の交換、CPUクーラーの取り付け、マザーボードのケースへの設置、配線、グラフィックボードの設置、最後にOSのインストールとなります。
まずは既存パーツの取り外しから。
ケースが大きいので作業スペースには困りませんが、その分、本体が重いのが難点です。マザーボードからケーブル類を抜き、グラフィックボード、マザーボード、そして最後に電源ユニットを取り外しました。
ケースの中は、案の定ホコリだらけでした。特にファン周りのホコリは凄まじく、PCの更新作業そっちのけで大掃除が始まります。
外せるパーツはすべて外し、徹底的にホコリを取り除きました。この清掃作業に、思いのほか時間を費やしてしまいました。
きれいになったケースに、新しい部品を取り付けていきます。最近の電源は、必要なケーブルだけを電源本体に取り付けるプラグイン式が主流なのですね。初めて見るタイプだったので少し戸惑いましたが、説明書で形状を確認しながら接続しました。
そして、今回の作業で最大の難関がCPUクーラーの取り付けでした。
このクーラーはファンが前後に付いているタイプで、いかにも冷却効率が高そうですが、大きい分ドライバーでの固定が困難な箇所があり、個人的には特に苦戦した印象です。苦戦の末に取り付けたと思ったらファンの向きが逆だったり、それを直すためにまたケーブル類をマザーボードから外し、マザーボードごとケースから取り出す羽目になったり、という作業を何度か繰り返しました。たまにしか自作っぽいことをしないこともあり、クリティカルではないものの、こういうしょうもないミスを何度かやらかしました。このことからやはりCPUなどの取り付けは依頼して正解だったと思います。
CPUやメモリの取り付け作業がなかったにもかかわらず、掃除とCPUクーラーの付け替えだけで、かなりの時間を消費してしまいましたが、なんとか組み上げることはできました。
最後の難関:OSインストールとトラブルシューティング
しかし、最後の最後でまた問題が発生します。Windows 11のインストール画面で、Wi-Fiが認識されません。マザーボードにWi-Fi機能が内蔵されているモデルを選んだはずなのですが...。途方に暮れかけましたが、これまで使用していたUSBタイプのWi-Fi子機を挿したり、別のPCからダウンロードしたドライバのフォルダを開いたりしているうちに、無事にルーターが検知されました。
Wi-Fi USB子機が認識したのか、マザーボードのWi-Fiが認識したのか分かりませんが、なんとかインストール作業を続けることができました。
後で分かったことですが、マザーボード内蔵のWi-Fiは、そのままでは利用できず、別途、MSIのサイトからWi-Fiのドライバーをインストールしないと使えない仕様だったようです。
朝から始めた更新作業は、OSのインストールが完了する頃には、もう日が暮れていました。
11年ぶりの更新を終えて
ひとまず、そこそこのスペックのマシンが完成しました。BTOの既製品と比べてどちらが安く済んだのかはさておき、ほぼ予算内で自分好みのPCに更新できたので満足しています。
また、リスクの高い作業を無理せずショップに依頼するという判断は、結果的に正解でした。何よりも精神的な負担が軽減されます。
次の目標は、グラフィックボードをVRAM16GBのものに交換することです。ローカル環境でAIを動かしていろいろ試してみたいことがあるからです。
さて、次にこのPCを更新するのは、何年後になるのでしょうか。