実家の周りを久々に歩いてみた。数十年ぶりの散歩だったが、結論から言えば「相変わらず何もない」と思った。新しい店ができたわけでもなく、昔のままの景色が広がっている。ただ、人口は減っているんだろう。若い人たちが出て行く理由が目に見える形で詰まっていた。
地方は静かで刺激がない。そういう環境を求める人には住みやすいかもしれないが、自分にとっては全く魅力を感じない場所だ。ここに住んでいると、仕事に行って帰るだけの日々になるのが目に見えている。社会模範に従い、引かれたレールの上を何も考えずに生きていく。そんな生活を選びたいと思える人はどれだけいるのだろうか?少なくとも、自分には無理だ。
リモートワークができる環境が整っていたとしても、ここに戻ろうとは思わない。結局、田舎には「自分がここに住む理由」が見つからないのだ。もし選べるなら、彼女の国で今の会社でリモートワークをする可能性を模索する方がよほど前向きだと思う。
若い頃、この場所を出ると決めたときから、地元に対する感情は薄れた。むしろ「見捨てた」場所として意識している部分もある。何も変わらない場所、衰退していくだけの場所に戻る理由はない。ここにいると、自分が沈みゆく船の乗員になったような気分になるだけだ。
田舎には良い思い出もなく、未来への可能性も感じない。これからの人生を築くために、自分の中で答えは出ている。過去を振り返る必要はない。重要なのは、自分が望む未来をどこで、どうやって作っていくか。それだけだ。