本記事のソースコードの利用によって生じた損害について、当方は一切の責任を負いません。ご自身の判断と責任のもとで参照・ご利用ください。
Stable Diffusion WebUI(AUTOMATIC1111版)の構築において、Git認証やPythonのバージョン管理、依存関係の解消に時間を奪われるケースが散見されます。
本業の制作環境や移住後の作業環境を考慮し、より安定的かつ簡易に環境を構築するため、Forge版を用いた導入テストを行いました。
結論として、Git cloneを使用せずZIPファイルから展開する方法が、現時点で最もトラブルが少なく確実でした。以下に、実際に起動に成功した手順と、発生した依存関係エラーの対処法を記録します。
1. Forge版のZIPダウンロードと配置
GitHub DesktopやGitコマンドによる認証トラブルを回避するため、リポジトリから直接ZIPファイルをダウンロードします。
入手先:GitHub - lllyasviel/stable-diffusion-webui-forge
ダウンロードしたファイルを解凍し、任意のドライブ(例:C:\stable-diffusion-webui)に配置します。
2. Python 3.10環境の確認
現時点(2025.12.24)での動作要件はPython 3.10系です。他のバージョンでは正常に動作しないため、必ず確認が必要です。コマンドプロンプト等でバージョンとパスを確認します。
py -3.10 -c "import sys; print(sys.executable)"
3. webui-user.bat の修正
起動スクリプトである webui-user.bat の編集が最も重要な工程です。
環境変数 PYTHON には py コマンドではなく、実行ファイルの絶対パスを指定します。また、Gitを使用しない構成のため、Git関連のパスは空欄とします。
@echo off set PYTHON=C:\Users\YourName\AppData\Local\Programs\Python\Python310\python.exe set GIT= set VENV_DIR= set COMMANDLINE_ARGS= call webui.bat
【設定のポイント】
- PYTHON:絶対パスで指定(例:C:\Users\YourName...\python.exe)
- GIT:空欄(set GIT=)
- VENV_DIR:空欄
- 引数:初回は空欄で起動確認を行う
4. 初回起動とライブラリ構築
修正した webui-user.bat を実行します。
初回起動時はvenv(仮想環境)の作成とライブラリのインストールが自動実行されるため、完了まで待機します。
5. 依存関係エラーへの対処
今回の構築環境では、インストール途中で numpy および scikit-image のバージョン互換性によるエラーが発生しました。
以下の手順で、仮想環境内のライブラリを入れ替えることで解消しました。
- 該当ディレクトリへ移動し、仮想環境(venv)を有効化
- 問題のあるライブラリをアンインストール
- 指定バージョンのライブラリを再インストール
cd C:\stable-diffusion-webui venv\Scripts\activate
pip uninstall numpy scikit-image -y pip install numpy==1.23.5 pip install scikit-image==0.21.0
6. 起動確認
再度 webui-user.bat を実行し、ブラウザ経由(http://127.0.0.1:7860)で正常にUIが表示されることを確認しました。
まとめ
- AUTOMATIC1111版のGit clone導入は環境依存のトラブルが多い
- Forge版のZIP展開が現状の最短ルートである
- webui-user.bat でのPythonパス指定(絶対パス)が必須
- numpy 等のライブラリバージョンの不整合は手動で合わせる必要がある